越前鯖江デザイン経営スクール シンポジウム「こわくないデザインvol.3 -経営とデザインとの付き合い方を探る-」が開催され基調講演が永井一史氏。私の解釈と感想を交えた備忘録です。

サクッというと「デザインによる思考とは」という点で、永井さんは「目の前の人と食事にいく」時にどうするか、と考えてみたら?と言います。食事を誘う時、「誰のためにどこで何を食べるか」を考えて提案するのがすでにデザインだと。誰のために(対象)、何をするか(目的)、これってデザインに限らずものごとの基本、経営論でもあるなと思いました。
「デザインの思考」とはいう点では
1 人から考えるー共感から出発するもんだ
2 目的を考えるー状況によって変わるんだ
3 前提を問い直すーそもそもなぜを問う。起点がぶれていてはそもそも意味がないんだよ
4 よりよくすることを考えるー現在とありたい姿のギャップを埋めていくんだよ
5 関係を考えるーデザインは関係やねん!
6 美に収斂(しゅうれん)させるー質と心地よいものにするというのは当たり前だけどすごいことなんですよ、機能性ではなく独立しても美の価値があるように!
永井さんはさらっと話してましたが、できそうでできないことなんですよ。
「売れる」前提だと、1は重要な要素でそれが商品開発や売上に結びつきます。しかしこの「共感」ってのがなかなか見つからないもんです。
私は芸術とデザインを行ったり来たりしているので、このあたり一個も当てはまらない作品があるなあと思ったり(褒めてます)、逆に当てはまりすぎる人いるよなあっておもったり(ディスってます)。
「デザインの範囲」って何なのか
そうそう、このあたりを役所の人とか企業の人とかごっちゃにしている。デザイン=デザイナー=ビジュアルもプロダクトも全部できる人的な。永井さんもやんわりおっしゃっていましたが、そもそもデザインにリテラシーがあるかどうかも問われるわけですよね。意識が高い低いとかではなく、経営にデザインが必要だと思っている企業経営者と仕事する前提のハナシ。
大きく言えば
・考えのデザイン
・かたちのデザイン
があって、考えのデザインのもとに「もの、こと、つたえるデザイン」があると。
永井さんは「デザインの対義語は自然では?空以外はみなデザインされている」と思いきったことを話していました。イケオジ(私の隣の席の人の感想)で、下まつげが長い(私の感想)には説得力がある。
でもって「デザイン概念の拡張」について話します。つまり、デザインってのがめちゃめちゃ指す範囲が広がっているからね!ということ。しくみのデザインで大賞(2022年グッドデザイン大賞)をとったのが「まほうのだがしや チロル堂」。お聞きした時「かえっこ」も同じようなインフラのデザインなんだけどな、大賞候補だよこちらも。ねえ、藤浩志さん。
後半は、永井さんが実際にリフレーミングをした事例。リブランディングと言った方が分かりやすいかしら。
HITO病院 (愛媛県)
もとの石川病院という名前すら変えて、スローガンにそって病院名も玄関も雰囲気も変えて、患者の気持ちと体験から考えて変えちゃった病院。こういうときすごいのは決断したクライアント側だし、そこをぶれずに行った現場職員だと感服します。でもサイトをSSLにしてあげてだれか、アクセスできないよ。
すみだモダン(すみだ地域ブランド推進協議会事務局)
ダイコンおろしを吉祥紋様としてしたことをモチーフにして、という話に響いた私。大根と金おろしが描かれた江戸小紋があり、大根(役者)をおろす=厄を落とすという意味らしいです。面白し。
もともとは墨田区のものづくりの衰退をなんとかせな!と思ってその一心でやった社長さんがいたからですが、自社の利益ではなく地域全体を憂いて立ち上がって進めた信念もすごい。結果的に国外4割で、EC、店舗、海外販路、などチャネルを持って販売戦略の確保につながりました。すみだとしてのものづくりと粋という江戸文化が支えに…ということで結局はソコ。
最後の最後に「いいデザイナー(クリエイター)に出会う」ことも鍵とおっしゃっておりました。言い換えれば相性のいいデザイナーさんということ。第二部のパネルディスカッション「デザイナーとの付き合い方」で堀内康広さんのお話もうなづきが多いお話でした。売るところまで責任もってのデザイナーだと。それでもロイヤリティ契約は怖いわ、と隣の席の人と合致して終わりました。
「デザイン経営」に関する資料 2018年に特許庁がまとめてました。永井さんも関わってます。
特許庁はデザイン経営を推進しています
特許庁デザイン経営プロジェクトチーム
以上
越前鯖江デザイン経営スクール
シンポジウム「こわくないデザインvol.3 -経営とデザインとの付き合い方を探る-」
越前鯖江デザイン経営スクール、募集中のようです。突き抜きたい経営者または中の人、ぜひ一歩を。