紙の文化博物館(越前市新在家町)で現在、特別展「和紙の真髄(しんずい)-越前奉書の世界-(その二・近代編)」が行われている。
約1500年の歴史を持つ越前和紙の礎を築いたという公文書用紙「越前奉書」の変遷をたどる同展。古文書にスポットを当てた企画展「その一・古典編」に続くシリーズ第二弾で、多色刷り木版画用紙としての越前奉書を紹介する。
本館2階展示室に、大正~昭和時代に制作された木版画44点を展示する。展示作家は、畦地梅太郎、漆原木虫、小野竹喬、川瀬巴水、斎藤清、廣長威彦、吉田遠志、吉田博など。別館では、木版画の版木、刷り見本、道具などを展示する。
担当学芸員の佐藤登美子さんは「近代に入り、作家や版元などの間で木版画の新たな表現を求める機運が高まった。良質の紙を求める声を産地の職人たちが聞き付け、交流を深めながら木版画用紙としての質を高めていった。越前奉書は両者が作り上げた芸術作品」と話す。
関連イベントとして、アダチ版画研究所(東京都新宿区)の「摺師(すりし)」による木版画実演(2月25日、午前・午後の2回)、越前市在住の紙すき職人で人間国宝の岩野市兵衛さんと、アダチ伝統木版画技術保存財団(同)の安達以乍牟(いさむ)理事長による対談(3月3日13時30分~)、学芸員ギャラリートーク(3月10日13時30分~)などを行う。いずれも参加無料(入館料別)。
開館時間は9時30分~17時。火曜休館。入館料は、一般=300円、高校生以下無料。3月12日まで。
(記事は福井経済新聞提供)