【開催報告】『サンデーアフタヌーン 福井の建築を語ろうトークツアー -小倉金物編-』

2023年2月12日、『福井の建築を語ろうトークツアー』の3回目を福井県福井市の小倉金物で開催しました。 

告知してすぐ「気になってた!」「入ってみたかった!」という声が多く寄せられた「小倉金物編」です。何よりも芸専スタッフがかねて「見たい入りたい」と思っていた建物。ようやく念願の建物見学ツアーが実現しました。

スタッフの話を聞くふりをして足元の猫ちゃんを見る参加者の皆さん

待ち合わせは、「小倉金物」と書かれたレトロな建物横の駐車場。現店舗の出入り口近くに受付を設け、参加者の皆さんにはツアー開始時間まで金物店ならではの道具やネジ、大工用品を目にしてもらいました。個人客さまへのおすすめは、カッコいいヨーヨーのようなメジャーです。

大正時代に造られた階段

ツアーは定刻の12時にスタート。店舗奥から秘密の通路を通って「小倉金物」建物裏口から中へ。通路の途中では、大正時代に造られたという階段や、高い段差のあるタイル張りのトイレ跡も見せてもらいました。

赤い上着を着ている人がスタッフ

建物内は、いわゆる大正ロマンあふれる調度品や、一乗谷朝倉氏遺跡の出土品が並ぶギャラリーになっています。小倉金物の店舗としてその歴史が始まった建物は、新店竣工後に倉庫となり、さらにはギャラリーになるという、時代の用途に合わせて改装されてきた「施主に愛されている建築」(N建築士評)なのです。

建物の歴史は、小倉家の奥様の曾祖父さまご健在の時代まで話がさかのぼります。勝手ながら詳細は省きますが、大正時代に建てられて2023年でちょうど100年。補修を重ねて大切にされてきました。「昔は暗くて汚くて、こんな建物が恥ずかしいと思っていたのに(笑)。興味がある人がいるものね」と住み継いできた奥様は笑います。

N建築士の解説を聞きながら外側をじっくり鑑賞

芸専スタッフは建物の歴史や遺跡の出土品のいわれについて、N建築士は天井のシーリング、外からだと3階建てに見えるような工夫(実際は2階建て)、梁の持たせ方といった建築的観点について、それぞれ解説しました。

一乗谷朝倉氏遺跡から掘り出された器の破片に大興奮の皆さん

小倉金物は、建物としての歴史と一乗谷朝倉氏遺跡の歴史がクロスする場です。「どうしてここに出土品があるのか?」と不思議に思った方はぜひ、この建物を訪ねてみてください。小倉家の方が詳しい話を聞かせてくださることでしょう。私たちが制作したミニパンフ(建物と歴史の説明を記しました)も受け取ってくださいね。

ご主人の故・小倉治さん(旧姓西田)は、大学生の時に一乗谷朝倉氏遺跡の遺物を掘りあてました。その発見が今の「一乗谷朝倉氏遺跡」造成につながります。小倉家にある出土品は福井県に報告・登録されていて、正式な手続きを経て保管されています。

ツアー後半は、小倉家の皆さんのご厚意でアフタヌーンティータイムに。スープ、サンドイッチ、淹れたてのコーヒーに有名ブランドのチョコレート。器のチョイスは奥様プロデュースです(カップ選びのセンスが素晴らしい)。建物と一乗谷朝倉氏遺跡とティータイムと。参加した皆さんにとって驚きにあふれた時間となったことでしょう。

『建築を語ろうトークツアー』は、参加してくださった方にのみ「見せる・教える」ツアーなので、ここでは詳細を控えますね(ごめんなさい)。

おみやげはマキタのキャップとHiKOKIの手ぬぐい。これも小倉金物さんが用意してくださいました

第2回建築ツアーウエア大会。今回のテーマは「大正昭和をにおわせるもの」です。優勝は、写真はありませんがシックかつ装飾をきかせた黒系スタイルで決めてきた小倉金物店のお姉さまでした。

竹久夢二のTシャツで挑む人
準優勝。金糸系刺繍の上着にハンチング、メガネはコルをイメージ
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この記事を書いた人

SAITO Riko(齊藤理子)

幼い頃から絵が好き、漫画好き、デザイン好き。描く以外の選択肢で美術に携わる道を模索し、企画立案・運営・批評の世界があることを知る。現代美術に興味を持ち、同時代を生きる作家との交流を図る。といっても現代に限らず古典、遺跡、建築など広く浅くかじってしまう美術ヲタク。気になる展覧会や作家がいれば国内外問わずに出かけてしまう。

I have liked drawing since I was young, manga and design. I tried to find a way to be involved in art other than painting, and found that there were ways to be involved in planning, management and criticism. I am interested in modern art and try to interact with contemporary artists. I am an art otaku, however, it is not limited to modern art. I appreciate widely and shallowly in classical literature, remains, and architecture. If there is an exhibition or an artist that interests me, I go anywhere in and outside of Japan.