インスタをしている人もしていない人も、思わず写真を撮影して人に見せたくなる、そんなミュージアムが愛知県多治見市にあります。その名も多治見市モザイクタイルミュージアム。設計は建築家の藤森昭信さんです。
多治見市笠原町はモザイクタイル生産高ナンバー1の町。タイル製造は大正時代から始まり瞬く間に広がって一大生産地に。[参考]モザイクタイルの街「笠原」オザワモザイクワークス
地元の人に聞くと、モザイクタイルミュージアムはもともとは道の駅を一緒にした建物になる予定だったと。「ここじゃ狭いなー」っていうんで道の駅だけ違うところへ。ミュージアムの構想だけが残り、町の有志の方々が藤森建築を実現させたそうです。グッドジョブ、有志の方たち! 信念がある建物は強い!
とにかく最初のインパクトがハンパない外観。正面から見るとぺたんこです。子どもが砂あそびをして水で固めて乾かせた、そんな印象を受けました。藤森氏曰く「タイルの原料を掘り出す採土場をモチーフにした」そうです。てっぺんに生えている緑の草(草なんだろうか…)もアクセント。建物なのに人間の頭の毛ように感じる、擬人化ミュージアム。
小さな小さなドアから中へ入ると意外に空間が広がっていて、受付を済ませるとスタッフの方から「とにかく屋上の階から」と階段を上がるよう促されました。
照明のない暗い階段を上がると…天井があいてます! ぽっかり。屋根なし。雨が降ったらどうなるんでしょう、って降ったきり。水浸し。しかしなんといってここはモザイクタイルミュージアム。タイルですから水に濡れてもめげません。
屋上の階は、モザイクタイルの展示です。昭和初期に住居や銭湯で見られたタイルデザインが貼られていました。「うちにあったあった!」と懐かしく思われるものもあることでしょう。
タイルデザインがインテリアの一部として住居を彩ったタイル模様の素晴らしさもさることながら、私が驚いたのは絵画の再現力。トラ、ヘビ、馬の動物や、日本全国いや世界各国の風景をタイルで表現するなんて!今思えばピクセル画の走りです。写真にあるような風景を、有名人を、なぜタイルで表現しようとするのか、お風呂や炊事場で見せたがるのか、職人の心意気と技、そのブーム的な文化を掘り下げたくなります。
3階はモザイクタイルを持ち帰った偉人のお話と、タイルの製造工程、笠原町で広まった理由と歴史の展示でした。奥の企画展示室では銭湯特集。東京の銭湯を巡る歴史と文献、写真が飾られていて、展示も銭湯を模したもの。じっくり腰をすえて読みふけってしまいました。
2階はタイルアートの見本展示場。タイルに詳しいスタッフ(なんでも知っている雰囲気のおじさん)が常駐していて、家にタイルを飾りたいとか店に置きたいとか、そんな具体的な相談に乗ってくれます。
一階はミュージアムショップと体験スペース。この体験スペースの人気がすごい!もうギュウギュウです、みんなタイルみたく詰め詰めで作業中。大人も子供もみんなガチ制作。
「お遊びでやろう、ハハッ」というものではなく「わたし、きちんと作りたい」という方ばかり。なぜこの地でタイルを生産するようになったのか歴史を追うミュージアムとしても見ごたえがありましたし、展示されている作品を見ると「私もやりたくなってきた!」という創作意欲に火をつけられてしまうからでしょうか。ワンコイン500円でフォトフレームやフックなどなど好きなだけ好きな模様にタイルをバンバン貼り付けられるハンドメイド大好きな人にはパラダイス。
笠原中央公民館が隣にあり、その一部にカフェがあります。ドリンク程度はここで買ってまったり建物を眺めるのもおすすめ。
アクセス
公共交通機関はよく調べてから行かれるといいです。
自動車の場合も駐車場はそれほど広くないので混雑時間を避けて早めに行くのがおすすめ。
多治見市モザイクタイルミュージアム
http://www.mosaictile-museum.jp/
岐阜県多治見市笠原町2082-5
0572-43-5101
【グルメ】鑑賞後は「手打ち天ころうどん す奈は」へ。冷たいうどんに冷たいダシ、その上に天ぷらと生卵と薬味をのせて食べる名物です。『す奈は 宝町店』0572-23-8785 岐阜県多治見市宝町2丁目49