【レビュー】「DeathLAB:死を民主化せよ」死の向き合い方についてめっちゃ自分に問いかけられる

DeathLAB、カタカナで書くと、デスラボ、死を研究する研究所ですって。

本展のホームページで紹介を読んでも「何を言っているんだ…」となりそうなので、かなり意訳してかいつまんで要約しますと

  • ニューヨーク、パリ、東京、大都市の中に死が身近にないね
  • こんな大都市で、災害が起こって、たくさんの人が死んで、ご遺体が出ても、どうしようもできないね(火葬、土葬もできない)
  • お墓を建てる土地もないし、お金もないね

家族葬のような小規模葬が一般的になり、都会では葬儀をビルの一室で行うなど、葬儀のありかたそのものが変わってきた日本。日本だけの話かなと思っていたら世界的な問題になっていました。

冒頭のデスラボが立ち上がるきっかけは、アメリカ同時多発テロ(9.11)です。この時、大都市のど真ん中で3000人が亡くなりました。ご遺体を置いておく場所もないしお墓も作れない。宗教も違えば弔い方も違う。それにしてもこんなにたくさんのご遺体が…どうしたらいいだろうか、と埋葬を巡る議論が起こったそうです。

そこでデスラボを立ち上げたコロンビア大学のカーラ・マリア・ロススタイン准教授が考えたのは次のようなこと。
「死を街で意識させられる?」
「生と死は循環できる?」
「死を想う場所でありながら同時に公共施設、インフラにすることってできる?」
「生死はインフラとして成り立つか」なんて哲学的なんでしょう。考え方に震えました私。私の想像力の及ばないところで考えている人がいることにも。
カーラ・マリア・ロススタイン准教授はさらに、「ご遺体をエネルギーにできない?」……という発想したそうです。不謹慎にも思えそうですが、そうでもないのです。
例えば、特別なカプセルにご遺体を入れる→微生物を入れて腐敗させると遺体からエネルギーが出る→光を発するエネルギーにかえる→マンハッタンの橋の下とかにカプセル飾ったらめっちゃきれいやん!→1年でだいたい腐食して粉になるから、1年後に粉はご遺族へ、そのカプセルには新しいご遺体を入れよう→永遠に輝き続ける橋! ちなみにイメージさせるデモ展示が下の写真。(理論上では可能だという)
白く光る粒がご遺体を入れるカプセル(イメージ)。発光していて、ある程度の時間がたつと薄くなって消えていきます。そしてまた点灯。
日本は火葬の文化なので「火葬ではなあ」というと「二酸化炭素出るでしょ?それ環境に悪いじゃない!」と。「ご遺体を燃やす」、それを環境問題と結びつける思考の逞しさ。死者を弔うこととは、尊厳とはといろいろ考えてしまうけれど、私は死を別の角度というか次元というか、斜め上の方向から教えてもらえました。
本展は、死をモチーフにした作品ではなく、どちらかというと死生観の新しい考え方の展示です。死生観についてのインタビュー映像もありました。死を都市の中に取り戻すためのプロジェクトだと。「カプセルにご遺体をいれて橋の下に吊るす」と聞くと未来的で映画的な埋葬方法のようですが、実際は真面目に取り組んでいるというコロンビア大学のデスラボの発表です。
DeathLAB:死を民主化せよ
期間:2018年7月7日(土) 〜2019年3月24日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:金沢21世紀美術館 デザインギャラリー
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1763

この記事を書いた人

SAITO Riko

SAITO Riko(齊藤理子)

幼い頃から絵が好き、漫画好き、デザイン好き。描く以外の選択肢で美術に携わる道を模索し、企画立案・運営・批評の世界があることを知る。現代美術に興味を持ち、同時代を生きる作家との交流を図る。といっても現代に限らず古典、遺跡、建築など広く浅くかじってしまう美術ヲタク。気になる展覧会や作家が入れば国内外問わずに出かけてしまう。