福井・あわらで「小松宏誠展」開幕 次世代モビールアート、「森の夢」テーマに

福井県あわら市の「金津創作の森美術館」(あわら市宮谷)で4月16日、企画展「KOSEI KOMATSU EXHIBITION 光と影のモビール 森の夢」が始まった。

徳島県出身の美術家で、現在、武蔵野美術大(東京都小平市)建築学科特任准教授も務める小松宏誠さんの展覧会。同館の立地にも由来するという「森の夢」をテーマに、鳥の羽、カーボンロッド、和紙、偏光フィルムなどを用いたモビールアートを中心に計63点を展示する。

展示室「アートコア ミュージアム-1」では、2006(平成18)年から現在までに発表した作品を展開。強度と軽さのバランスを追求したという「Lifelog_シャンデリア」、自身の子の寝姿も着想の基になったという新作「森の夢を」などのほか、気泡の力で踊るような表情を見せる人工水草「プワンツ」(三好賢聖さんとの共作)も並ぶ。

サウンドアーティスト・sawakoさんの共作によるインスタレーション「雨のうた」

ギャラリーでは、外光を受け止め桜色の表情を見せる新作「はるかぜ」、自然採集したクモの糸を多層構造で重ね着色した「Network_モニュメント_風景」(石渡愛子さんとの共作)などを展示。ホワイエには、小松さんが「ISSEY MIYAKE」などと手掛けたコラボレーションワークのアーカイブ、記録映像を見ることのできるディスプレーなどを設ける。

コロナ禍の影響で当初の予定から2年遅れの開催となった同展。小松さんは「学生時代の恩師である土屋公雄さん(福井市出身)ゆかりの地で大規模な展覧会を開くことができ光栄」と話し、「屋内展示を前提とした作品づくりを20年近く続けてきた私にとって、この2年間は未知の素材のテストや、新たな表現方法へのチャレンジなどに弾みを付けてくれた期間だった」と振り返る。

新たな挑戦と位置付ける作品が、屋外「水辺の広場」の池に展示する「マジックアワーのモビール」。偏光フィルムなどを素材とするモビール200個で構成するインスタレーションで、「軽さ」「はかなさ」など従来の表現のキーワードを、雨や風など屋外の自然現象との共存による「強さ」へと展開した。

「マジックアワーのモビール」

関連イベントとして小松さんによるギャラリートークも行い、約20人が制作エピソードや作品解説などに耳を傾けた。展示作品は全て撮影ができ、ゆらゆらと動く作品をバックに「自撮り」を楽しむ来場者の姿も多く見られた。

小松さんは「場を作るという意識で制作に取り組んでおり、鑑賞者が場に入り込むことで私の作品は完成する。鑑賞を楽しむツールとしてスマホが生まれたことがうれしい」と話し、同館もハッシュタグ「#光と影のモビール」「#小松宏誠」「#森の夢」「#金津創作の森」を付けたSNS投稿を呼び掛ける。

作品は全て撮影可能。静止画・動画共にOK

小松さんによるギャラリートークは、4月17日、6月12日にも行う。各日14時から。5月7日・8日には、同館屋外でクラフト販売や飲食店など計111店が出店する「森のアートフェスタ」も行う。

開館時間は10時~17時(5月27日・28日は20時まで、入館は各30分前まで)。料金は、一般600円、高校生以下無料。月曜休館。6月12日まで。

(記事は福井経済新聞提供)

金津創作の森美術館
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この記事を書いた人

MORIKAWA Tetsushi(森川徹志)

小学生の頃、親が定期購読していた『暮しの手帖』で雑誌作りの面白さに目覚める。アートに興味を持ったのは、20代の時に関わった情報誌の編集がきっかけ。時代や作家などを問わず幅広く鑑賞するタイプだが、なんとなくの傾向としてデカくて一瞬で「うわっすげえ!」と思える作品が好き。アイドルソングDJ・teckingとしても活動中。

When I was in elementary school, I found it interesting to make a magazine with 'Kurashi no Techo' which my parents subscribed to. I became interested in art when I was an editor in my 20s. I appreciate art works of all ages and artists, but I like large works that surprise me by saying, "Wow, that's amazing!". I am also active as an idol music DJ tecking.